"掴まず、抗わず、流れとともに" 序文
🌑 生きづらさの次に見えてきたもの
前の連載で私は、「生きづらさ」という言葉を手がかりに、
私たちが抱える痛みや不安をひとつずつ見つめてきました。
そこでは、孤独や比較、制度や文化、そして死や終末に至るまで、
生をとりまくさまざまな構造を探り出そうとしました。
けれども、問いを深めれば深めるほど、
ある感覚が繰り返し浮かび上がってきたのです。
それは「生は流れている」という事実でした。
🌊 抗うことと掴むことの疲労
私たちはしばしば、生を「制御しよう」として疲れ果てます。
うまくいかないことに抗い、失いたくないものを必死に掴む。
けれども水に手を伸ばしたときのように、
強く握るほどに指の隙間から流れ去っていく。
そしてある瞬間、ふと気づくのです。
「掴まず、抗わず、ただ流れとともにあればいいのではないか」と。
🌱 このシリーズの目指すこと
本シリーズ 「掴まず、抗わず、流れとともに」 は、
そんな気づきを100の断章として記録する試みです。
ここで描くのは、立派な哲学体系ではありません。
むしろ、日常のなかで誰もが感じる小さな引っかかりを、
水や風や音楽の比喩を借りながら解きほぐしていく、
軽やかな散文集 のようなものです。
🪶 読者への誘い
もしあなたが、
「生きるのがしんどい」と感じたり、
「何かを必死に掴んでいるのに報われない」と疲れていたりするなら、
この連載がひとつの休息になるかもしれません。
ここにあるのは答えではなく、
ともに「流れのなかで考えるための言葉」です。
🎑 終わりに
掴まず、抗わず、流れとともに
それは無責任な放棄ではなく、
むしろ「生の自然さを信じ直す」ための態度です。
では、この新しい旅をはじめましょう。
第1話「硬直から流れへ、"生きづらさ"を超えて」から。