思想工学ブログ

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【ご報告】在野研究の一歩。自作の論文にDOIという「消えない住所」を授けました。

いつも「思想工学」に関する考察を読んでいただき、ありがとうございます。今日は、私の研究活動における、非常に大きな一歩となるご報告があります。

先日公開したプレプリント論文に、正式なDOI(デジタルオブジェクト識別子)が付与されました!

「DOIって何?」「それがそんなにすごいの?」と思われる方もいるかもしれません。今回の記事では、この一見地味な文字列が、私のような在野の研究者にとってどれほど重要で、感動的な出来事なのかを、少し語らせてください。


思索が「公的な知」になった日

先日、私の「思想工学」に関する考察を一つの論文としてまとめ、OSF(オープンサイエンスフレームワーク)という世界的な公共の場に登録しました。そして今、その論文には正式なDOIが付与され、無数の学術文献が登録されるデータベースの一部となりました。

それは、私の個人的でささやかな思索が、検索可能で、引用可能で、そして恒久的にアクセス可能な「公的な知」へと変わった瞬間でもあります。このブログで断片的に語ってきたアイデアが、一つの揺るぎないオブジェクトとして、世界の知のネットワークに正式に参加したのです。


DOIって、結局なんなの?論文の「パスポート」です

一言でいうと、DOIは「インターネット上の論文に与えられる、永久に変わらない、世界で唯一の背番号」です。

普通のウェブサイトのURLは、サイトが移転したり閉鎖したりするとリンク切れになりますよね。いわば、いつなくなるか分からない「お店の住所」のようなものです。

しかし、DOIは違います。論文のデータが将来どこに移動しても、DOIはずっと同じものを使い続け、常に正しい場所を指し示してくれます。まるで、どこに引っ越しても生涯変わらない個人の「パスポート番号」のようなもの。

この「永続性」と「唯一性」が、論文に信頼性公的な地位を与えてくれるのです。


なぜ在野研究者にとって「DOI」が重要なのか

大学や公的研究機関に所属していない私にとって、自分の研究成果を「正式な業績」として世に示す方法は限られています。ブログで記事を書くことはできますが、それはあくまで個人的な発信。いつ消えてもおかしくない、儚いものです。

しかし、DOIが付与されたことで、私の論文は以下のものを手に入れました。

  • 永続的な信頼性: リンク切れの心配なく、10年後も100年後も誰かが引用し、アクセスできる。

  • 正式な引用が可能に: 他の研究者が、私の論文を正確に引用し、学術的な議論の土台にできる。

  • 発見されやすくなる: Google Scholarなどの学術データベースに登録され、世界中の研究者の目に触れる機会が生まれる。

これは、自分の研究が個人的なメモから「公共の知的資産」へと変わった瞬間です。在野という立場は変わらなくても、世界中の研究者と同じ土俵に立ち、学術的な対話に参加するための「参加証」を受け取ったような感覚です。


(おまけ)技術的な背景:OSFとCCライセンス

今回、この仕組みを実現するために利用したのがOSF(オープンサイエンスフレームワークという無料のプラットフォームです。ここに論文を登録することで、誰でもDOIを取得できます。

また、ライセンスはCC BY 4.0 Internationalに設定しました。これは「私の名前と論文の出所さえ示してくれれば、誰でも自由に、商用利用も含めて、この論文を改変・再配布してOKですよ」という意思表示です。

「思想工学」という新しい分野だからこそ、オープンな形で多くの人に利用してもらい、育てていってほしいという願いを込めました。


おわりに:本当のスタートライン

DOIの取得はゴールではなく、ようやく本当のスタートラインに立ったという気持ちです。

これからは一人の「研究者」として、この論文を通じて国内外の方々と対話し、議論を深めていけることを楽しみにしています。

長い文章になりましたが、私の興奮と感動が少しでも伝われば幸いです。ぜひ、論文そのものにも目を通していただけると嬉しいです。