思想工学ブログ

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2025-01-01から1年間の記事一覧

「流れ」を遮らないための、やさしい終止符

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第40話 曲が終わるとき、人は拍を“止める”のではなく、休符を置く。止まっているようで、ちゃんと流れている。これが第40話のゴール地点です。 1. だれも上流には戻れない ここまで、ずっと皆さまと一緒に川べりを歩いてきた…

川の対岸から眺める 、 自分の感情を“溺れずに見る”ための距離感

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第39話 水位が上がるとき、私たちは近づきすぎる 感情があふれてくる瞬間って、たいてい“強度”じゃなく“距離”の問題なんです。同じ水でも、顔を突っ込んでると苦しい。対岸からだと美しい。 1. 感情は事故じゃなく「現在の…

まどろむ余白 、答えを持たないまま浮かぶという技術

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第38話 霧の朝、ペンを握る前の静寂 生きづらさの話を続けていると、思うんです。私たちは、答えを持つことよりも「持たないままいられない苦しさ」にやられているんじゃないか、と。 早朝の川べりを想像してみて。まだ世界…

日常で生きる原理 、触れられる静かな祈り

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第37話 朝に、川はもう流れている 目覚ましが鳴る前から、世界は先に動いてます。あなたが「今日が始まった」と思うより早く、光はすでにカーテンを白く縁どり、空気は肌に湿度を押し当てている。 川の流れはノックしないま…

夢みる者と夢、物語としての「私」

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第36話 ふと水面が揺れて、「私」が浮かぶ 風のない湖でも、波は完全には止まりません。心の湖面(こめん)も同じです。 目に映る光も、耳に触れる音も、ぜんぶあなたの内側で揺れながら立ち上がるのに、その真ん中で「私」…

個の世界・共有の世界 「私たちはどこで交わるのか」

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第35話 1. みんな別々の「内側」を持っているのに あなたの朝は、あなたの中で始まります。私の朝も、私の中で始まります。 同じ時間に起きて、同じパンをかじっても、噛みしめている温度も、聞こえる生活音の“主役”も、心を…

脳内の小さな劇場 “よくできた幻”としての現実感

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第34話 ふだん私たちは、「現実はそこにあるもの」だと思っています。固い机、スマホの重さ、人の声、空の色。 けれど、少し視点を変えると私たちが生きているのは、「脳内の小さな劇場」で上映されている世界なのかもしれな…

「私」という罠

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第33話 「私」という束縛から自由になる ️ 気づけば、比べている 目覚めてスマホを開けば、誰かの成功、誰かの笑顔、誰かの「うまくいっている感じ」が流れてきます。 気づけば心のどこかで、自分を天秤にかけている。 「あ…

「自分」という境界はどこにある?

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第32話 輪郭が溶けるときに見えてくるもの ️ 「私って、どこからどこまでなんだろう?」 ふとした瞬間、考え込んでしまうことがあります。 「私は、私の考えなのか?」 「私は、この身体そのものなのか?」 「私の境界線は、…

空虚さの瞬間 - 世界が“内側”に立ち上がるとき

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第31話 外側の世界と内側の世界が、ふと重なるとき ️ ある夕方、世界が舞台のように見えた ある夕方、見慣れた部屋に立っていて、ふと「ここはどこかのセットなのでは」と感じたことはないでしょうか。 カーペットの目の細か…

過去に置いてきた自分と和解する

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第30話 あのときの「私」を、いまの流れに戻す ️ 思い出したくない場面たち ふとした拍子に、思い出したくない自分が顔を出すことがあります。 あのとき言えなかったひと言。選ばなかった道。見ないふりをした誰かの涙。 記…

速さと深さのバランス

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第29話 早く進むことと、深く生きることは両立できるのか? ️ 速く進むほど、置いていくものがある 私たちが「速さ」を選ぶとき、そこにはたいてい焦りがいる。 “終わらせたい”“追いつきたい”“置いていかれたくない” 速度を…

間(ま)を置く勇気

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第28話 流れを止めずに、静けさを取り戻す ️ 「すぐに動く」が癖になっていませんか? 通知が鳴るたびに反応し、タスクを終えるたびに次のタスクへ。 現代の生活は、「間(ま)」が不安になる構造をしている。 少しでも空白…

繰り返しの力

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第27話 退屈ではなく、流れに拍(ビート)を与える ️ 同じことを、また今日も 同じ道を歩き、同じ朝食を用意し、同じ席で仕事を始める。 ふと、「進歩していないのでは?」と不安になる。変化こそ善、斬新さこそ価値。そんな…

遅さを味わう

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第26話 急がない時間が、流れの質を変える ️ 予定どおりにいかない朝 信号に引っかかり、メールの返事が来ず、思ったよりも身体が重い。 小さな遅れが積み重なると、私たちはすぐに「失敗の気配」を感じてしまう。世界の拍(…

老いるということ

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第25話 老いは、いつから始まるのか? ふと鏡を見たとき、「こんな顔だったかな?」と思う瞬間がある。 体力が落ちる。回復に時間がかかる。昔のようにできないことが増える。 私たちはこれを “老いの兆し” と呼び、どこか…

“まだ起きていないこと”に人生を奪われないために

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第24話 ️ 「まだ来ていない未来」が、なぜ私たちを縛るのか? 夜、寝る前にふと襲ってくる不安。明日の仕事。来月の支払い。五年後の生活。 それらは、いまこの瞬間には存在しない“影”でしかない。しかし、私たちの心はその…

死を恐れずに流れる

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第23話 死への恐れは、誰の内にも静かに流れている 死を怖れない人はほとんどいない。明るいふりをしても、強がっても、胸のどこかに小さく沈んでいる石のように、死への不安は存在している。 その石は、ときに重く、ときに…

“いま”に留まることの意味

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第22話 ️ 生きているのは、いつも “いま” だけなのに 私たちはしばしば、頭の中だけで時間旅行をしてしまう。 過去を反芻し、未来を予測し、まだ起きていない失敗に怯え、すでに終わった痛みに再び傷つく。 しかし、落ち着い…

過去と未来にとらわれない

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第21話 過ぎ去った流れを追いかけ、まだ来ぬ流れに怯える 人はときどき、「過去という川の上流」を振り返りすぎてしまう。 あのときの後悔。あの瞬間の傷。やり直したかった選択。 いっぽうで、「未来という下流」に怯えて…

自我は川面の泡にすぎない

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第20話 「私」という輪郭が、確かなようでいて 鏡に映る顔、履歴書の名前、過去の選択。「これが自分だ」と言えるものは、たしかに形をしているように見えます。 心の中をよく覗いてみると、その形はいつも揺らいでいます。…

比較という罠

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第19話 気づけば、誰かの速度で生きている 朝、スクロールする指先。誰かの成果、誰かの笑顔、誰かの「できた」。気づけば私たちは、他人の流れを基準に自分の水位を測ってしまう。 昨日より良くなったかではなく、あの人よ…

待つことの力

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第18話 「何も進まない」時間への焦り 何かを始めたいのに、動けない。頑張っているのに、結果が出ない。 そんな時、私たちは「自分が止まっている」と思い込む。しかし実際には、流れが見えないだけです。 冬のあいだに根…

静けさの中に生まれるもの

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第17話 音が消えても、世界は続いている 喧噪のない朝、風のない川面、止まったような時間。 そこに「何も起きていない」と感じるのは、私たちの目が、動きを探しすぎているからです。 世界は、沈黙の中でも流れている。水…

孤独を恐れない

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第16話 孤独は、失われた関係の跡ではない 私たちは、孤独を「誰かがいない状態」だと思いがちです。けれど、それは本当の孤独ではありません。 本当の孤独とは、他者とのつながりを失った結果ではなく、自分の流れに立ち返…

関係の中で失われる自分

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第15話 他者と一緒にいるとき、自分が消える感覚 人と深く関わるとき、ふと自分の輪郭が曖昧になる瞬間があります。 相手に合わせ、期待に応え、「いい人」であろうとするうちに、気づけば自分の声がどこかへ消えている。 …

他者と流れを共有する

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第14話 「分かり合う」は幻想かもしれない 私たちはしばしば、「相手に分かってほしい」と願う。 しかし、その願いが強くなるほど、流れは濁っていく。 相手を“理解すべき対象”として見るとき、もうその瞬間に、流れは分断…

自分を赦すということ

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第13話 自分だけを責めてしまう夜 失敗したこと、誰かを傷つけたこと、あのとき言えなかった言葉、選べなかった道。 私たちは、他人を赦すよりも前に、まず自分を赦すことに苦しみます。 「なぜあんなことをしたんだろう」…

忘れることと、赦すこと

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第12話 忘れたふりをしても、心は覚えている 「許す」という言葉を口にするとき、私たちはどこかで「忘れよう」としている。 けれど、本当のところ心は、忘れてなどいません。 無理に忘れようとするほど、記憶は深く沈み、…

"許し"と"流れ"

"掴まず、抗わず、流れとともに" 第11話 許せない、という痛み 誰かに裏切られたとき、傷つけられたとき、「許す」ことほど難しいことはありません。 怒りや悲しみは、簡単に手放せるものではない。「水に流す」なんて言葉は、現実にはあまりに残酷に響く。…